くず鉄作りの海 - 暗殺教室感想ログ(2012/11)

2012/11/3


暗殺教室感想(2012年48号)


第17話 しおりの時間(巻頭カラー)

今週の『暗殺教室』はジャンプの表紙と巻頭カラーをゲットです。
11/2にコミック1巻が出たばかりのところですが、アンケート人気も好調なようでなによりです。



・表紙

授業中に教科書の下に『暗殺教室』のコミックを読んでいた渚に対して怒っている殺せんせー。とはいえ、コミックの方もニコちゃんマークのような先生の顔に黄色一色と最近の漫画コミックでは珍しいほどのシンプルっぷりで、これ自体も教科書に見えなくもありません。
そして殺せんせーは一見怒っているようにも見えますが、第一話で渚の解説にあったように、殺せんせーの顔がオレンジ色の時は”笑顔”の時。つまり、建前上、渚を叱ってはいるものの、内心は『暗殺教室』を読んでいる渚に喜んでいるということです。強がって見せても体は正直だなってことですか。



・本編

神崎さんと茅野が拉致されるというトラブル発生。しかしここで殺せんせーが生徒のために用意してくれた鈍器…ではなくしおりが役に立ちます。”しおり”の語源は山道で迷わないように枝を折って道しるべにする動作の「枝折る(しおる)」からと言われていますが、このしおりなら木の枝どころか人間の首くらい折れそうです。

渚「京都で買ったお土産が東京のデパートで売ってた時のショックの立ち直り方とか」

家に帰るまでが遠足とは言いますが、旅行が終わったその後のことまで考えてくれているアフターケアの行き届き。というか、渚はもしかしてこれ全部読んだのか。せめて項目が五十音順くらいにはなっていないと必要とする事項を探すのも苦労しそうな分厚さなんですが。
「殺せんせーマメだから」と呆れている渚ですが、この辞典の内容を把握している方も相当なものだと思います。殺せんせーの詳細な観察記録といい、熱心なファンレベルといってもいいでしょう。
ところで、最近は便利な世の中になって観光地のお土産が東京で売っているということもわりと珍しくない、というか、むしろメジャーなお土産はだいたい置いてあるくらいです。よっぽど現地にしかなさそうな物を選ぶのでなければそれはそれと割り切るしかないんじゃないでしょうか。



真面目で清楚系と思われていた神崎さんの以外な過去。といっても良い肩書きばかりを求めてくる家に嫌気が差しての反発からでした。その結果がエンドのE組に落ちて不名誉な肩書きを得てしまうという結末。
ただ、神崎さんがやったこともせいぜいが派手な格好をして一人でゲーセンで遊んでいた程度ですから、この遊びが原因でE組に落とされたというわけではないんでしょうね。遊んでばかりいた結果が成績落ちてE組行きというところでしょうか。

一方、そんな神崎さんに”同類”になることを求めてくるヤンキーたちの方は他人に危害を加えるろくでもないことばかりをしています。「台無しの伝道師」と自称していますが、人を救うどころか救いようもない連中です。



殺せんせー「不良などいませんねぇ、先生が全員手入れしてしまったので」

先生の拉致対策マニュアルのおかげで迅速に駆けつけた渚たちに続いて先生もマッハ20で連れのヤンキーたちをぶちのめして丸刈り丸眼鏡にしながらやってきました。坊主なんて…全員同じ髪型だなんて誰が誰だか分からなくなるぞ。
一応暴力沙汰になるため顔に顔隠しを付けてきた殺せんせー。しかし顔を隠せばいいというものでは、というかあなたの体型は全体的に特徴的すぎて顔だけ隠しても意味がない気がします。
しかし先生の「手入れ」が意味するものってわりと広範囲ですよね。相撲でいう「かわいがり」のような。

殺せんせー「ハエが止まるようなスピードと汚い手で…うちの生徒に触れるなどふざけるんじゃない」

さすがに今回は本気で殺せんせー怒っています。第一話以来のあのドス黒い顔になりかけています。

「エリート共は先公まで特別製かよ」

特別製の先生というか、まず人間の範疇から大きく外れているんですけど、そこは突っ込まないのか。不良10人を片手で処刑台に並べられた首吊り兵士みたいに抱えながら登場した時点で相手が人類なのかどうか大いに疑問を持つべきだと思うぞ。

最後は渚ら生徒たちが先生から学んできた暗殺の技術を駆使してノックアウト。防御面はともかく、普段から本気で殺せんせーを殺しにかかってきた彼らです。素人のヤンキーをしおりのような物(※鈍器)で背後から不意打ちするくらいのことは余裕でできます。
台無しのプロを自称しながらもやたら相手の”肩書き”を気にする台無しの伝道師。そんな台無しに名門校の中で底辺に落とされて差別の対象とされてきながらも前向きに取り組むE組の姿を説く殺せんせー。それはヤケになって自分からE組に落ちる原因を作ってしまったことに負い目を感じていた神崎さんの気持ちも吹っ切れさせます。



修学旅行初日からヤンキーとバトルという学園物の王道のような災難に見舞われた渚たちですが、見事に解決。この後、暗殺教室の修学旅行イベントで予想される展開は、暗殺の訓練を兼ねた枕投げ大会、暗殺の訓練を兼ねたお風呂でハプニング、暗殺の訓練を兼ねたお土産選び。個人的にはお風呂イベントにTo LOVE る的なジャンプの王道展開を期待したいですが、『ネウロ』で温泉イベントがあった時も魔界魚の入浴シーンだけといううらぎり君をかましてきた松井先生ですから、そちらに関しては期待できないでしょう。


2012/11/8



暗殺教室感想(2012年49号)


第18話 赤の時間

今週は話の時間軸は少し戻って、政府が雇ったスナイパーに焦点が当たります。
そもそも神崎さんが拉致られたのも、狙撃しやすい人通りの少ない場所に殺せんせーを誘い込もうとしたことがあだとなったことがありますが、正直、スナイパー関係の話はあれで終わったと思ってすっかり忘れていました。
見た目は渋谷あたりに歩いていそうな若いにーちゃんですが、殺し屋らしくクールに煙草をくゆらせています。ゴルゴ13か、お前は。

そんな殺し屋は、これまで35人を暗殺してきた実績を持ち、その通り名は”レッド・アイ”。ちょっと厨二病臭漂うニックネームですね。知り合いに肩の尖ったコートを着た通り名”ブルー・アイ”とかいそうです。イリーナみたいに”ビッチ先生”というフレンドリーすぎる名前にしろとは思いませんが、せめてシティハンターとか海坊主くらいの方があたりさわりはないと思います。

そして京都に着いたときには煙草はいつの間にか禁煙パイプに変わっています。ホル・ホースか、お前は。ひょっとして松井先生も煙草が苦手で唐突に禁煙してもらうことにでもなったのでしょうか。
まあ実際のところは、イリーナが初めに殺せんせーを暗殺しようとした時に臭いで部屋に隠れていた狙撃者に感づかれた実例があり、同じ政府の雇われであるレッド・アイにもおそらくはその情報は入っているのでしょう。

さらに今回はイリーナの時とは違い、対先生用素材を使用した銃弾を使うことを念押しされています。殺せんせーの特殊体質を甘く見て通常の銃弾を使用して失敗した反省もふまえてのことでしょう。
しかし、鉛の弾を大量に撃ち込んでも体内で溶けてしまうだけという、天津飯にはカメハメハ波自体がきかない理論的な殺せんせーに、あれだけの効果的なダメージを与えられるこの素材って何でできているんでしょう。

さて、そんな念押しもされて挑んだ第二のプロ暗殺者でしたが、結果は予想通り、殺せんせーの変態性不死身さを披露するための引き立て役となるだけでした。
八つ橋で弾丸を止める常識はずれの繊細さに驚き、殺陣役者に乱入して演じた完璧な台詞回しも評価し、油取り紙のダイナミックな使い方にナイスツッコミまで入れてくれました。
でも、あの油取り紙にスポンジ片みたいに張り付いた先生の粘液塊はちょっと気持ち悪かったぞ。



暗殺どころか気がつけば本日のツッコミ役となっていたことに完全に自信喪失したレッド・アイ。その厨二病ネームも返上しそうな有様の彼の前に現れた殺せんせー。湯豆腐でのおもてなしです。
さすが先生、失敗して凹んだ暗殺者へのアフターケアも忘れません。まあ、生徒が修学旅行先の土地の学習に熱心になった影響はともかく、今週はツッコミ役としても非常にいい働きをしていました。『バキ』でいえば本部くらいの活躍はしたと思う。ターゲットが暗殺者に飯を奢るくらいはいいと思う。
そして、自分を殺そうとした相手と立場はそのままに親交を結ぶ姿は、奇妙な光景ながらも見慣れたものとなってきましたね。もっとも、現状、力の差が圧倒的すぎて暗殺者に対して敵意を持てるほどにもならないのかもそれませんが。

しかし先生、アツアツのたこ焼きは食っていたのに湯豆腐はダメなのか。


2012/11/16



暗殺教室感想(2012年50号)


第19話 好奇心の時間

今週のサブタイトルは「好奇心の時間」。
人間の成長に好奇心というのはとても大事です。とある天才的な腕を持っていた(元)医者の人は、「人間は『好奇心』が刺激されるほど、精神のパワーがわいてくるものだ。人は、どの生命よりも、好奇心が強いから進化したのだッ!」ということを熱弁していました。ご存じだと思いますが、この言葉の最後に締めくくられるのは「早く見たいッ! おれはこーゆーヤツらが死ぬところを早く見たいと思っていたのだッ!」という言葉です。まさに暗殺を日常とするE組にはふさわしい格言です。



今週はお風呂パートと恋話パートの二本立てです。まるで学園漫画のような王道イベントです。
修学旅行といえば入浴イベント、入浴イベントといえば覗きというジョブ。今回入浴シーンを披露するのは、お風呂を覗かれるのは、ええもちろん、殺せんせーです。しかも覗きに行くのは女子の方です。
……うん、分かってた。松井先生のことだもの、そんな『ニセコイ』あたりでやるような女子がおっぱいのサイズでキャッキャウフフするようなサービスイベントなんてあるわけないって分かってたましたよ。
百歩譲って、いやむしろ百歩進んで渚の入浴シーンくらいはあるかと期待した私が馬鹿でしたよ。

純粋な知的好奇心からだけで行われる覗きとか、もはや覗きと呼んでいいのか分かりませんが、ともあれ、殺せんせーの服の下の構造は私も気になっていました。実は服の下にはサタンクロスのようにもう一つの顔があるとか、それくらいの秘密はありそうじゃないですか。
あと、きれいに脱ぎ置かれた殺せんせーの衣服を見ると、あの服はローブ(?)の下にはワイシャツ着込んでいたんですね。でもズボンとか下着的な物は見あたらない。いつも裸ワイシャツで生徒たちの前で教鞭を執っていたとか、殺せんせーマジエロい、淫乱。まあ、あの下半身ですから履こうにも履ける下着がそもそも存在しないのでしょうけど、下着が存在しない世界とか、『咲』のキャラですか先生。

殺せんせーの裸を覗(み)たいという中村たちの乙女の欲求は予想通り撃沈。
しかしもし仮に自分が、風呂に入っていると女子中学生がナイフ持って押し掛けてきて「殺せなくても裸だけは見せてもらう」と自分の裸に好奇心旺盛なシチュエーションになんて遭遇したら、ビビればいいのか興奮すればいいのかちょっと迷いますね。
ただ巨大な煮こごり状となった先生を見ると、ジョジョ四部の虫食い編の人間煮こごりのシーンが思い出されるので、これは軽くグロ指定ですね。エロ要素もあるのでR-18Gです。



そして今週のもう一つの好奇心は“恋話”です。

男子に人気ランキング1位はやはりクラスのマドンナと呼ばれていただけあって神崎さん。今回の騒動でゲーマー属性も表に出すようになって、これはこれで新たな萌えポイントになってくるんじゃないでしょうか。そして茅野も貧乳をハンデとせず上位に入り込んでいますね。
奥田さん推しのカルマが「意外」と言われていましたが、奥田さんのようなキャラが性的に攻め立てられてあわあわするシチュエーションなんてかなりポイント高いと個人的には思っています。カルマくんの気持ちはよく理解できます。タッグトーナメントのパートナーを決めるようなノリで言っていたけど。しかも実際この二人が組んだらかなり強そうだから困る。
渚が誰に票を入れたのかも気になりますね。無難に神崎さんに入れたのか、それとも…
あと矢田はちょっと見切れていたけど、これポイントのところに“胸”って書いてありますよね。



一方、女子勢は、いろんな意味で経験豊富なビッチ先生から“大人の恋話”をレクチャーたまわろうとしていました。
「大人の」って付けると大抵の言葉はなんだかやらしく聞こえますよね。たとえば“おもちゃ”とか。

いやしかし、世界的には日本人は若く見えるとはいえ、ビッチ先生あれでまだ20歳ですか。毒蛾キャラとはいえ。20歳といえば牡牛座のアルデバランと同い年ですよ。世が世なら黄金聖闘士になって中高生くらいの年齢を「小僧」と呼ぶような年ですよ。あれ、そう思うとビッチ先生てむしろ若作りに見えてきますね。



最後は男の園と女の園を逆に好奇心満々に覗き見してきた殺せんせーがいつものように生徒たちから命を狙われて追い回される光景となります。
わざわざ自分から追いかけ回される原因を作っているあたり、かまってほしかったんですね先生。

「手足が二本ずつだった時」については第一話ですでに回想でそれらしき描写はあったので新しい情報ではありませんが、烏間も殺せんせーが今の姿になった事情はある程度は知っているんですかね。


2012/11/25



暗殺教室感想(2012年51号)


第20話 転校生の時間

・扉絵

作中時間は五月を過ぎたばかりでこれから寒くなろうかというところですが、扉絵の方はリアルタイムに合わせて冬仕様となっています。
燃えさかるたき火の中から焼き芋を取り出すことくらいは何ともない殺せんせーですが、猫舌の殺せんせーは焼きたてアツアツの焼き芋を食べることは苦手のようです。おい、生徒の一人くらいは誰かつっこんでおけよ。



・本編

殺せんせーが赴任して早一ヶ月。E組生徒たちはこの短期間で驚くほどの早さで異常な状況にも慣れ、また殺せんせーのお陰でE組暗殺教室の生徒として成長することもできてきました。
しかし、地球の存続のために殺せんせーを始末しないといけない政府側の要人たちにとっては早一ヶ月とはいきません。地球の命のタイムリミットの1/12が成果もないまま消費されたのです。
そしてそのことで矢面に立って責められるのはもちろん烏間です。
ただ、上層部も何人かは殺せんせーの非常識なチート性能については把握しているので、単純に烏間一人を努力不足と責め続けることもできません。
最終的には学校一帯を巻き添えにして核を使うというアイデアも出ますが、殺せんせーのスピードではそれも難しいと反論されます。
もっとも、彼らは知らなくてもしかたないですが、殺せんせーがE組生徒を見捨てて一人だけ核の攻撃から逃げるという可能性はほぼ考えられません。殺せんせー自身はマッハ20のスピードで回避できるといっても、カルマの時の例で言及していたように、普通の人間にはその速度に耐えることはできません。実はE組生徒を人質に取るという手段が結構有効に効いてしまうのが殺せんせーの弱点の一つではないでしょうか。
あと、海軍の人はマクロスファンか。

さて、この一ヶ月間、政府側もただ数人暗殺者を送るだけで手をこまねいていただけではありませんでした。
早くも対殺せんせーに向けた「科学技術を結集」したという特殊な暗殺者を乗り込ませてきました。そうです、転校生です。もともと落第者の隔離クラスであるE組に、直接転校してくる生徒が現れること自体がイレギュラーなので、このような非常事態でもない限り転校生の登場という学園漫画のようなイベントはなかったでしょうね。



そして登場した期待の転校生。ノルウェーからやってきた、その名も”自律思考固定砲台”さんです。
一応美少女です。ただし二次元。あと首から下も割愛されています。
これを転校生として紹介しないといけない役割を負わされた烏間の気苦労もしれます。
もはや暗殺用兵器であることを隠す気もさらさらないストレートすぎるネーミングと造形。
殺せんせーがE組担任となる時に契約した「生徒に危害を加える事は許されない」という条件を露骨に利用してきました。
普通の漫画だったらここで美少女アンドロイドを出してくるところでしょうが、松井先生に限ってはそれはありません。見事な板状です。板状といっても貧乳キャラではありません。文字通り首(?)からつま先(?)までがゼーレの会議に出てきそうなモノリス状の物体です。

一見どこにも武器は備えていないように見える自律思考固定砲台ですが、そのPHSのようなボディの中に最新鋭の射撃兵器を内蔵していました。
初戦はその最新鋭の射撃攻撃もマッハ20の回避速度を持つ殺せんせーにはやはり通じず。しかし、ここからが彼女の本領発揮です。失敗した前回の攻撃から殺せんせーの防御パターンを学習、そして少しずつ自身に改良を加えて進化することで、徐々に徐々に殺せる可能性を上げてきます。

カルマに続いて殺せんせーにダメージを与えることに成功した二人目の生徒が現れました。しかもカルマの時のような不意打ちとは違って真正面からの攻撃でです。
何度も失敗して、その度に学習して徐々に成功の可能性を上げるというやり方は、命をやり取りをする暗殺という場面では本来はまったくもって論外の方策です。しかし、ターゲットが暗殺者に対して手出しはできないという特殊条件であるこの例に限っては、条件を見事に活かした殺り方です。反撃の心配がないのなら、失敗を重ねることを前提に、わずかでも確実に追いつめていくという作戦が取れるのです。
カルマの時はお返しに物理的な攻めは伴わない「手入れ」をするという報復もできましたが、彼女、自律思考固定砲台については有効性があるのかどうかも疑わしいです。
”自律思考固定砲台”という名前からして、彼女はE組教室のあの位置からはいっさい動くことはできないのでしょうけど、わざわざ殺せんせーを追い回す必要はなく、ターゲットは毎日必ずこの教室に来てくれるのです。

自分のAIも構造すらも再構築して進化を続ける自律思考固定砲台ですが、普通の漫画なら最終形態として美少女型アンドロイドにでもなるところなのでしょうけど、松井先生に限ってはそれはないと安心できます。そもそも移動式になったら自律思考固定砲台でなくなっちゃいますしね。
ただ、過去に『ネウロ』連載時、ジャンプの水着集合絵表紙の回に、あかねちゃん(弥子の携帯電話付き)の水着姿を出してきた松井先生です。次の夏のジャンプの水着絵には、自律思考固定砲台の水着姿を出してくる可能性は90%以上はあると思われます。もちろんあの造形のままで。