ヤングジャンプ47号 『華と修羅』レビュー

2010/10/30


ヤングジャンプ47号 『華と修羅』レビュー


あまたま。よりいらっしゃった皆さん初めまして。
774さんよりバトンから受け取って、ヤングジャンプ連載中の『華と修羅』のレビューをやらせていただきます。

私も『華と修羅』はおろかヤングジャンプを購読すること自体が初めてなので、話のあらすじはあまり分かっていないのでそこはご了承ください。掲載作品については『ハチワンダイバー』や『嘘喰い』、『キャプテン翼〜海外激闘編』等、名前は知っていた作品は結構あるんですけどね。


『華と修羅』というのは『夜王』を連載されていた井上紀良氏作画、谷本和弘氏原作の、大正時代の華族の家を舞台としたゴシックサーガだそうです。
注:この『華と修羅』という作品は昼メロ的な権力争いと肉欲争いうずまくドロドロなお話です。そういうものが苦手な方はこの先のレビューの閲覧にも気を付けてください。


今回私が読んだのはヤングジャンプ47号。『華と修羅』第十八話、「誘惑」というサブタイトルが付くお話です。
前回の774さんのレビューを読んだところでは、唐房家に使える女中、真智子が、慎太郎と百合子の恋の橋渡しをしながらも慎太郎を想う気持ちに焦がれ、全裸で慎太郎に迫ってきたところで終わったようです。色々と途中で経るべき過程がすっ飛ばれているように思われるかもしれませんが、他の方々のレビューも見たところではこの漫画ではそれが普通らしいです。第一話で初っ端から公開ファッ○とかやっている作品ですから。
あと前回は『キャプテン翼』の大胆なコマ使いぶりがすごくて、20ページに1ページ平均コマ数2.2コマという、バキが郭春成を2秒でKOした時並みの豪快なコマ使いっぷりがされていたらしいです。


とりあえず突然のことで同じく『華と修羅』という作品を知らないという人も多いと思うので、私自身の内容把握もかねた作中登場人物紹介をしていきたいと思います。
私も各登場人物の絵を描いてみましたが、あの井上先生の美麗な絵を再現するのは無理でしたので一部アレンジの入ったものになっていますが気にしないようにお願いします。




『華と修羅』 第十八話「誘惑」 登場人物


唐房慎太郎

・唐房慎太郎
この作品の主人公。
名門唐房家の三男だけど、妾腹の子なので立場は弱い。気も弱い。
生娘の女中さんに迫られて下半身はファイティングポーズを取るも上半身は護身の体勢を取ってしまう自分のヘタレぶりを自己嫌悪する青年。そんな様を「意気地なし」と言われて言い返した言葉が「ぐ…これは不意打ちのようなもの…」(※1)というところがまたヘタレっぷり満載です。

※1 この台詞の使用例(父親と息子の会話で)
父親「クスクスクスクス……オモシロイことを言う。挑まれた雌に背を向けて震えることを情事と呼ぶなど、生物史始まって以来のことだろうぜ」
息子「ぐ…これは不意打ちのようなもの…



真智子

・真智子
密かに想いをよせていた慎太郎に全裸で迫った女中。非常に場慣れしていてとても素人とは思えない。いやまあ唐房家のお兄様達に調教済みということらしいんだけど。



唐房新

・唐房新
唐房家の長男。
今まで女性に拒否されたことがないらしく、この世の女性は全て自分と結婚して自分の子を産みたいと望んでいるのだと信じている地上最強の生物クラスの自負心を持っている男。『華と修羅』で「肉便器」と言ったら彼のことである。
しかし、その自負心をもって常に上から目線で貴島百合子に迫るも(本人に了承を得ずに婚約発表までしようとした)一向に相手をされていない姿はほとんどピエロでしなかった。



貴島百合子

・貴島百合子
貴島家の令嬢。
慎太郎とプラトニックラブにいい仲らしい。タマネギを拾うのが上手い。



唐房美彦

・唐房美彦
ほっこり系と思わせて鬼畜な性格。腹違いの弟の慎太郎にきつくあたっている。でも兄(唐房新)には頭が上がらず媚びまくり。決め台詞は「今から昂ぶりが鎮まらんのだ!」(人が見ている前で女中を○ァックしながら)
なお、今週は特に登場はしません。




というわけで今回の『華と修羅』についてはもうだいたいを語ってしまったので、続いて『キャッ翼』について語りたいと思います。
大丈夫だ、問題ない。774さんからも『キャプテン翼』のリクエストはあったしね!



『キャプテン翼〜海外激闘編』第三十三話「消えることなき情熱」


ひたすら翼とナトゥレーザの超絶プレイ(前話分の展開)を褒め称えるアナウンサーに観客に選手たち。どれくらい凄かったのかというと、今週丸々一話が二人への賞賛だけで終わってしまったくらいです。
今回の1ページの平均コマ数は2.7コマ。話はまったく進んでいません。サッカー漫画でサッカーの試合中の回だったというのに一度もボールを蹴る描写がなかったのは新鮮でした。

『キャプテン翼』というと、必殺シュートに空中技などに代表される超人的なプレイが見所の作品ですが、その作品世界の選手達をしてこれほどまで驚嘆させて手放しで褒め称えさせるのですから、前話はよほど凄いサッカープレイが繰り広げられたのだろうと思います。おそらく2、3人は死人も出たんじゃないでしょうか。

試合の方は将棋でいうところの感想戦(具体的なプレイ内容にはほとんど言及されていなかったけど)で終わった第三十三話でしたが、もう一つ、新キャラのミカエルという少年が翼とナトゥレーザの超絶プレイに感動して自分がサッカーが好きなんだということを自覚するシーンがありました。

安西先生…

安西先s
どちらかというと今回はこちらがメインだったのかもしれません。新キャラの彼に「サッカーがしたいです」の一言を言わせるために、タメに2ページ、発言に見開き2ページ、余韻に2ページを使うという力の入れようでしたから。
今のところ修道士だったということ以外に情報を与えられていない彼に見開きを使って泣かれてもなかなか感情移入はしづらいのですが、今回唯一ボールに触れるシーンがあったのが彼のこのシーンだけであるところからして今作の重要キャラであることは分かります。
アメリカでは大統領が就任式の際に聖書を手を置いて宣誓を行いますが、キリスト教の修道士であるミカエルが胸にサッカーボールをあてて思いを述べているのもそれを模しているのでしょう。聖書がないので代わりにサッカーボールで、というか、『キャプテン翼』の世界ではむしろサッカーボールが聖書なんだと言っても過言ではありません。世の中にはそんな神聖な聖書をなれなれしく「トモダチ」と呼びながら足蹴にしてゴールバーにぶつけて破裂させたりする不届き者もいますが。


さて、他の漫画家にいろんな意味で真似できない今の『キャプテン翼』に度肝を抜かれたところで、次のバトンを黒鈴さんに渡したいと思います。
よろしくお願いします。