男の娘マガジン「わぁい!」vol.1 レビュー

「わぁい!」vol.1 レビュー


わぁい!

コミックナタリー - [Power Push] わぁい!


一迅社より「オトコの娘たちが集まる新世紀マガジン」をキャッチフレーズとした“オトコの娘”マガジン「わぁい!」が創刊されました。日本もとうとうここまで来たかという感じですが、私もちょっとした気の迷いというかネタとしての興味本位というか、もっとも適切な言葉を選べば”魔が差して”買ってしまったので、せっかくなのでレビューでもしてみたいと思います。

まず誌面の構成としては、オトコの娘を主人公とした恋愛ゲーム、アニメの紹介。そっち向けのアニメ以外でも、”秀吉”という第四の性別を確立させた『バカとテストと召喚獣』の秀吉特集などが組まれています。木下秀吉というキャラを知らない人は、戦士系ジョブが上位クラスに上がることでパラディンや忍者になるように、男の娘の上位ジョブだとでも思っておけばいいです。
そしてオトコの娘をテーマとした6本の連載作品、ピンナップイラストが数点という構成。最後に女装ハウツーコラムまでもあり、「男の娘が好き」という層だけでなく、「男の娘になりたい」という層もターゲットとして視野に入れているようです。
雑誌内に掲載されている広告も、ウィッグや人工乳房など、いかにも雑誌の特色が現れたものばかりでした。
あと気になっている人も多いと思うので先に言っておきますと、18禁要素はありません。下着シーンなどは多々出てきますが、せいぜいが『To LOVE る』を少しソフトにしたくらいのレベルです。なのでエロ要素をウリとしているわけではないようです。こういう時『To LOVE る』という漫画はエロ基準の物差しとして非常に使いやすくて便利です。
かろうじて全体を通して乳首の描写が2、3あったくらいですが、そもそも♂の乳首なので性的描写の面では何ら問題のないところです。カテゴリー分けすれば『バキ』や『シグルイ』で男どもの乳首が描かれているのと全く同じことです。同じウシ科の動物だからといってニホンカモシカとアメリカバイソンを全く同種の動物と見なすくらいの乱暴なカテゴライズかもしれませんが。



漫画作品の方も簡単に触れておきます。

さざなみチェリー

電車の中で一目惚れした子が実は男の娘でしたという話。
絵柄はかわいくていいのですが、ページも少なく展開も上記の一行以上の進展はなかったので、ちょっと内容は物足りないところでした。

オンナノコときどきオトコノコ

転校してきた子が男の娘で主人公の幼なじみ、かつベタ惚れ。
性別上の問題から当然ながらツンの主人公が徐々にヒロイン(?)にデレていくお話になりそうです。

すずのね〜若女将?奮闘記〜

姉の代理で女装をして旅館の女将を努めることになった小学生の男の子の奮闘記です。恋愛要素のいじりは少なく、どちらかというと男子小学生と女将の二重生活をテーマにした内容のようです。

ひみつの小悪魔ちゃん

自分の童貞を奪ってもらう目的で見るからに美少女の淫魔を召喚するも、生えていました、というお話。
絵のかわいさやギャグの入れ込み方は今回の掲載作の中では一番良かったと思います。

リバーシブル!

全寮制の男子校に転入したはずが、なぜか女子生徒が。学校の方針で女装を強制され、次第に”新世界”に目覚めていく主人公。イッツ・ア・ニューカマー・ランド。

ののの。

ガチレズの女先輩と女装が趣味の男の娘の後輩のやり取り。女性の先輩が後輩に正しい女装の仕方をレクチャーしながら、時にはその女装のパーフェクトぶりに男だということを忘れてときめいてしまうことも…


ざっと見てみると、テンプレート的な話は多いものの、”男の娘”というカテゴリー制限を設けて内容が被りやすいところを、恋愛、二重生活、女装への目覚めと、それぞれ主題とするテーマはきちんと線引きされており、内容の重複が起きないように配慮がされているのが分かります。
単に”男の娘”というジャンルが流行ってきたから適当にかいつまんでまとめようという大雑把な仕事ではなく、この雑誌を”継続させる”という編集部の本気ぶりが感じられます。



ところでこの「わぁい!」創刊号、そんな本気の編集部のとても気合いの入った特別付録が付いています。


わぁい!

「わぁい!」vol. 1 特別付録 ブルマ風のなにか

これの使い道について、今真剣に悩んでいます。
今の気持ちを簡潔に伝えるなら、とりあえず後悔はしています。