2005/12/24スティール・ボール・ラン感想(#9 大草原の小さな墓標) 「ごきげんよう」 スティール・ボール・ラン・レースは、もとは優勝賞金5000万ドルの大レースの為につくられたという伝統あるカウボーイ系アメリカ横断レース。純粋培養の荒くれ者どもが集う。 このスティール・ボール・ラン・レースに参加するホット・パンツの挨拶の言葉は「ごきげんよう」。 スカートのプリーツは乱さないように、白い花びらアクセサリーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがホット・パンツのたしなみ。もちろん、入賞ギリギリでゴールインするなどといった、はしたないホット・パンツなど存在しない。 そして「ごきげんよう」の次にかける言葉は、 「これからおまえらを木に「吊るす」」。 放牧しておいた牛は食われないように、法を破る者は縛り首に、裁判も不要なのがホット・パンツのたしなみ。もちろん、相手の言い訳を聞くなどといった、はしたないホット・パンツなど存在しない。 と、いうわけで、気品溢れるホット・パンツに合わせて、『マリア様がみてる』の解説風に今月号の冒頭の紹介をしてみました。 さて、前回、死闘を繰り広げたジャイロやDioをさしおいて、いつの間にかちゃっかり1位入賞していたホット・パンツとはどんなヤツかと思っていましたが、やはり普通なヤツではありませんでした。 「ごきげんよう」の挨拶の次に出てくる言葉が「おまえらを木に吊す」です。このレースに参加しているのはこんなヤツらばかりですね。常に警戒は怠れません。 ホット・パンツもスタンド能力者。詳しい内容はまだわかっていませんが、「手に握った物体を泡状に変化させてスプレー放出する、また、放出された泡はまた固形に戻る」という能力でしょうか。 今回は肉のスプレーでしか攻撃していませんでしたが、能力の対象が肉限定ではあまりに使い勝手が悪すぎるうえに、能力が「肉のスプレー」だなんてB級スプラッタ映画みたいで気持ち悪いので、スプレーに使用できる物体は肉には限らないと思います(というか、そう思いたい)。 最初はスプレー缶がスタンドビジョンかと思っていましたが、ジャイロのようにしっかりガンベルトに入れているので、あくまで「泡化」とスプレーからの「放出」までがホット・パンツの能力でスプレー缶自体は自前なのでしょう。ここから予想するに、普段からこのサラサラヘアーな髪型を整えるのにスプレーを大量に使用していたために、スプレーの技術がチューン・ナップされてこのような能力が身に付いてしまったものと思われます。 果樹園から出られなくなったジョニィとジャイロ、さらにホット・パンツまでも合流します。ボロ屋の住人の能力と思われますが、ジョジョ4部の「振り返ってはいけない小路」を思い起こさせますね。 さきほどの一悶着により、ホット・パンツはジョニィとジャイロを信頼していい人物と判断したらしく、協力し合うことを提案します。これに対し、ジョニィの反応は「彼は敵じゃあないと思う」と冷静な判断、そしてジャイロの反応は……「くそくらッ!バーーーカ!落ちて転べ!」 どうも最近ジャイロの幼児化の進行が危ぶまれてきます。 一人は若干脈あり、もう一人はとりつくシマなしの応答に、ホット・パンツ、今度は食べ物で釣る作戦に出ます。 どうやって用意しているのか、ローストビーフのサンドイッチを投げてよこします。上等な馬に乗っていることや、放牧していた牛のことなど、このホット・パンツ、かなり裕福な育ちのようですね。 そんなホット・パンツの食べ物作戦に、飢えた野良犬のような二人組はすっかり動揺しています。 効いてます。これはかなり効いています。 一応この二人にしても育ちはいいはずなのに、しばらくろくなモノを食べていなかったためか、目の前の食べ物によだれを垂らして心奪われています。 特に左の貧乏くさい男の方の顔を見てください。ヤバイです。非常にヤバイです。完全にサンドイッチしか目に入っていません。心がノック・アウトされちゃってます。今なら肉の目を植え付けられた花京院以上に忠実にホット・パンツの言いなりになりそうです。人間賛歌の漫画で主人公を務める男の顔じゃありません。 たしかに前回ジョニィに「飢える必要あり」と言われたジャイロですが、ジョニィにしてもこういう意味で「飢えろ」と言ったつもりはないはずです。 ジャイロ達の前に現れたドクロの形のヒゲの男。また謎の多い行動を取りますね。 大統領の部下達のように直接ジャイロ達を襲ってくるわけでもなく、「ここを出て行きたければオレを殺すしかない」と、通りかかったレース参加者に対して自分と決闘をするように仕向けています。 ガウチョに「手がふるえてるぜェー!!」と言われていますが、状況を冷静に判断する口ぶりや、拳銃を手から外すのに苦労しているところ見ると、恐怖によるものではなく肉体的な原因によるもののようです。 この男の目的ですが、大統領の部下である可能性は低そうですね。もしも彼が大統領の部下だった場合、遺体の所持とは関係のないガウチョと決闘する必要はありませんし、なによりレース参加者の足止めをしてしまったら、「遺体を探させる」という目的すら達せなくなってしまいます。 かなりのマゾであることは確かですが、この男がレース参加者に決闘を挑ませる理由は何なのでしょうか…
2005/11/25スティール・ボール・ラン感想(#8 湖を越えろ) 「君は「1st.」「2nd.」で敗れたのはトラブルのせいだと思ってるかもしれないが………そうじゃあない!その「背後」にあるもののせいで敗れた」 意訳:2nd. STAGEで追い抜かれたのは俺のせいじゃねーからな 本編では飛ばされていたため分かりませんが、きっと2nd. STAGEゴールインの後、ジョニィはジャイロにしつこく文句言われていたんでしょうね。結構根に持つタイプのようですし。 2nd. STAGEのゴールインについてはどう言いつくろってもジョニィのせいだと思うのですが、なにやらスケールの大きな話にすり替えて誤魔化しています。最後には「「飢えなきゃ」勝てない」と問題の原因をジャイロに帰結しているところはなかなか話術巧みな男です。 2nd. STAGEからレースよりも戦闘に比重が傾いていたSBRでしたが、作者がこの漫画がレース漫画であることを忘れたわけではありませんでした。 聖人の遺体の一部を手に入れ、「能力」を身につけたDioでしたが、ジャイロが「鉄球」の技術をパワーアップさせたように、Dioは「馬のクセを見抜く」技術をパワーアップさせていました。単に戦闘のためにだけ使用されるものかと思っていたら意表をつく使い方をしてきました。前回、Dioが「恐竜化」の能力をそのまま自分のものにしていたことに、Dioならもっと違う能力のが合うんじゃないのかと思っていたんですが、なるほど、Dioもまた自分の特技を活かすための能力として「恐竜化」の能力を手にしたわけですね。単純に戦闘面でも強力な能力なので、Dioは今後もかなりの強敵として成長していくでしょう。 ジョニィが指摘するには、Dioは最下層の生活から何でも「奪い取る」ことで這い上がってきた人間、そして一方ジャイロは『受け継いだ人間』。今のままではジャイロはDioに勝てないと言います。 祖国から「受け継いだ」鉄球の技術を利用して、体中の水分を流し出して馬への負担を軽くするという、凄まじい方法で挽回に出るジャイロ。予測を上回るジャイロの爆発力にさすがにDioも動揺します。しかし、Dioもこのような修羅場は幾たびもくぐり抜けてきたのでしょう。これで気圧されて負けるDioではありませんでした。胃石でヴァルキリーの脚を攻撃してジャイロの走行を妨害します。 ゴールはジョニィ、Dio、ジャイロの順番…… 追いつめられたDioがとった手段、相手の馬を傷つけるという、卑怯、かつ、馬乗りとしては許されない行為です。しかし、この土壇場において勝つためには手段を選ばない潔さこそが「飢えた者」であるDioの強さなのです。 いざとなれば紳士の仮面も、プライドも、『人生に悔いを残さない』という思考も「便所のネズミのクソにも匹敵するそのくだらない物の考え方」と一蹴できるのがDioです。 勝つためには「飢える必要あり」……。ジョニィの言葉を頭でなく心で理解したジャイロは自分も勝つために飢えること考えます。 しかし、すでに餓死寸前のような体になったジャイロがこんなことを言っているのもまた痛々しい図です。自分も聖人のミイラを探すことを考えますが、当の自分がミイラになりかけています。このジャイロを見たら誰も「飢えが足りない」なんて言えないでしょう。むしろこれ以上飢えたら死んじゃいます。 ところで使い古したゾウキンのように水分を絞り出してしまったジャイロですが、補給の方はどうするのでしょう。スポンジみたいに出したときのようにまたすぐ吸収というわけにはいかないでしょうし… もしかしたら3rd. STAGEゴール地点の休憩ポイントで、消耗したジャイロを助けるべく、お節介焼きのスピードワゴン、否、烈海王のごとく、マウンテン・ティムが14キロの砂糖水が入ったバケツを持って待ちかまえているかもしれません。 マウンテン・ティムといえば、極度の脱水状態の中、目覚めたスタンド能力で命をつないだ男。彼ならば効率的な水分補給についても知識ではなく経験で知っていることでしょう。 このバケツいっぱいの砂糖水も、「奇跡が起こる」と言って無理矢理ジャイロに飲ませてくれることでしょう。ジャイロも回復とパワーアップが同時に行えて一石二鳥です。 最後に、先月号もジャイロのアップのシーンなどでも見られていましたが、アップの時の影の付け方が斜線を多用するようになり、よりリアル調な絵になりつつありますね。新たな絵柄を模索中のようにも見えます。普通、20年以上も漫画を描き続けていれば画風も固定化し、絵の上達も頭打ちになるものですが、荒木先生はまだ進化しようとしているのでしょうか。 いまだ衰えを見せない成長性 - Sの漫画家荒木飛呂彦……今後もSBRから目が離せません。
2005/10/25スティール・ボール・ラン感想(#7 ディエゴ・ブランドーC) 遺体の眼球をDioに奪われ、ジャイロまでもが恐竜の支配下に置かれた絶望的状況。そこに突如現れたのは、恐竜にまたがるバラの男でした。 このあまりにファンシーな光景に、真っ白になった私の頭の中で城みちるが『イルカに乗った少年』を歌っていました。 ともあれ、登場シーンは少々マヌケですが、彼こそは大統領の第二の刺客にしてこの恐竜騒ぎの黒幕、フェルディナンドです。 大地を敬い人間を「アホ」と蔑む男、フェルディナンド、わざわざ自己紹介をして、最後に「「フェルディナンド博士」と呼べ」などと、呼び方まで指定していましたが、ジョニィとジャイロからは最後まで「博士」どころか名前すら呼んでもらえていませんでした。 さて、そんなわけで今回の恐竜化の能力は実はDioではなく黒幕の仕業によるものとわかりました。前々回のSBR感想で、 >影の黒幕が『SWORD BREAKER』のグリード様のごとく屋根の上あたりでこの状況を見守っていて、「恐竜Dioか……ざこにしては上出来か…」とほくそ笑んでいるかもしれません。 という予想をしましたが、かなりこれに近い展開になりました。 聞かれてもいないのにペラペラと自分たちの目的をしゃべり出すフェルディナンド。ポーク・パイ・ハット小僧といい、どうも大統領の直属の部下たちは抜けている人が多いようです。 大統領側の遺体集めの目的が「国の永遠の繁栄」というのは明かされていましたが、このフェルディナンドが漏らした言葉からすると、遺体の力で「不老不死」や「無敵の力」さえも可能になるようです。とはいえ、この二つも「国に永遠の繁栄」をもたらす力に比べればちっぽけでレベルの低い話とのこと。確かに、「不老不死」と「無敵の力」なら、日に弱い体質になるのさえ我慢できれば、少々の血液と石の仮面でも手に入ります。 遺体の右目を手に入れたジャイロですが、彼が新たに得た能力、それは、鉄球と眼球が一体化するというものでした。さすがにこれは予想できませんでした。 『鉄球』と『眼球』ガカケテアリマスネ。ダカラ『ドーダコーダ』言ウワケデハナインデスガネ。 ジャイロは「スゲェーッ見えるッ!」と言っていますが、高速回転する鉄球に目が付いて、文字通り目を回さないのでしょうか。 ジャイロにはいつか、チューン・ナップされた鉄球を左目に入れて、「トゥーンだから平気デース!」と『遊戯王』のペガサスのモノマネをやってほしいです。 ジャイロの鉄球のチューン・ナップ、そしてラストは3rd Stageゴール間近というところで終わった今回の話ですが、いやあ、熱かったです。なんといってもジャイロがかっこよかった。 「顔を上げてこっちを見るんだッ!ジャイロ・ツェペリッ!」と言われて顔を上げたときの不敵な表情。「死刑の人間を無罪にしてくれたりもよ」と言っているときのりりしい表情。久々にジャイロのかっこよさを再認識できた気がします。そしてなによりも、さりげなく「ニョホ!」の口癖も復活していたのが嬉しいですね。 さらに最後にはDioも遺体の眼球を手に入れたのは予想外ですが嬉しい展開です。 一巡した世界とはいえ、やっぱりこのままDioが誰かの操り人形のままで消えていくのは納得いかないですよね。さらには遺体の一つを手に入れたことで、今後Dioが、某エジプト人のような使い捨てではなく、『SBR』の中でかなり重要な位置を占めるキャラになることが決定したわけです。 それにしてもジョニィは出会ったときからずいぶんとDioのことを毛嫌いしていますね。「「頂点」と「権力」を欲しがるDioは、絶対に自分たちの遺体も狙ってくる」と決めつけています。今回の恐竜の騒動も、仕掛けたのは大統領の手の者ですし、Dio自身に責められるような非は一切ないのですが…… ジョニィとDioの出会いは1st Stageでのレース上の抜き合いと、今回の戦いだけですが、このわずかな出会いですっかりDioを「ゲロ以下のにおいがプンプンする」大悪党と決めつけています。こんなわずかな時間でここまで人を嫌いになれるのも珍しいです。 もしかしたらジョニィの前世での記憶が、彼の意識のはるか下のところで蘇っているのかもしれません。 ジョニィはDioの顔を見ると、「おれ、ああゆータイプの顔を見ると、スゲームカつくんだよな。前世でなにかあったんだろーな。本能だな、この気持ちはよ」というようなかんじで、Dioに対して、犬なんて飼ってないけど愛犬をいきなり蹴り飛ばされたような気分になったり、恋人のファーストキスを強奪されたような気持ちになるのでしょう。
2005/9/23スティール・ボール・ラン感想(#6 ディエゴ・ブランドーB) ディオの悲惨な過去話から始まりました。 『ストーン・オーシャン』では一巡した世界では徐倫やエルメェスは刑務所に入れられることも、家族を失うこともなく幸せそうに生きていました。が、ディオは一巡した世界でも、母親を幼くして亡くし、父親はゲス野郎、と家族運に恵まれなかったようです。 イギリス貧民街のお節介焼きの男は前世でのディオを、「環境で悪人になっただと?ちがうね!!こいつは生まれついての悪だッ!」と言っていましたが、このディオに関しては環境で悪人になったと同情する余地もあります。 って、スタンド攻撃の件をのぞけば、別にまだディオはなにも悪人らしいことはしていないんですけどね。結婚した金持ちの老婆を毒殺したことだって噂にすぎませんし、ジョニィが勝手に毛嫌いしているだけです。 しかし前世が前世だけに、なににつけても不必要なまでに「悪」のイメージがつきまとってしまいます。こういうのを前世での因縁、宿業とでも言うのでしょうか。 こういう過去話は、人物の内面を深く掘り下げて今後も物語で活躍させていくための伏線とも取れますが、荒木作品においては、シーザーや花京院、ヴェルサスのように、逆に今まで明かされなかった人物の過去を語ることで悔いを残さずその人物との別れに持っていくための準備である可能性もあります。 私見ではディオは今回の戦いでリタイアになるものと思っています。 熊にネズミ、そして村中の住民にいたるまでを恐竜化させたディオ。恐竜化の被害がどんどん拡大していきます。いくらなんでもこの短時間でディオが一人一人を襲って村人全員を恐竜化させたとは考えられないので、恐竜化された生き物が別の生き物を襲うことでまた恐竜化し、ネズミ算式に恐竜が増えていくのでしょう。 ジョジョ一部のウィンド・ナイツ・ロットのような状況になりつつあります。そろそろ「村はずれに恐竜がはびこりつつあるぞ!!」と言ってジャイロと修行を共にした古い友人が現れるかもしれません。 恐竜の攻撃をかわし、次の遺体の場所までたどり着いたジャイロとジョニィ。そこで砂の中に浮かび上がるスタンドビジョンを目にします。そしてそのスタンドが両手に持っているものはミイラ化した『眼球』でした。 もともと遺体集めを目的としていたのはジョニィの方でしたが、今回は恐竜化を防ぐためにジャイロが手に入れることになりそうです。 ところでこのミイラの眼球、ジョニィが遺体を手に入れたときは自分の腕の中にミイラの左腕を取り込む描写がありましたが、ジャイロも自分のものにしようとしたら、自分の目に取り込まないといけないんですよね。ちょっとした度胸試しです。 ジョニィは遺体の左腕を手に入れることで「爪弾(タスク)」の力を手に入れましたが、ジャイロはどうなるのでしょう。ジャイロがすでに身につけている鉄球の回転の技術、この技術を活かす能力になるものと予想されます。 そしてミイラの眼球…… ジョニィの爪弾(タスク)のように、ジャイロが自分の眼球を回転で飛ばす能力になると予想します。 ジャイロの武器が『鉄球』から『眼球』に変わるのです。 もちろん眼球というものに鉄球のような硬さはありません。 眼球は外面を強膜と呼ばれる厚さ1ミリの膜で覆われ、その中身の大部分が硝子体というゼリー状のもので構成されています。思いきりブチ当てたとしても、眼球の方が砕け散って、物理的なダメージはそれほど出ないでしょう。 しかし相手に与える精神的なダメージは計り知れません。鉄球などの比ではないことは確かです。並みの精神力の相手なら、2、3発も当てれば戦意喪失、口の中にでもブチ込んでやれば再起不能(リタイア)は間違いありません。精神力を競う戦い、これぞスタンドバトルの本領でしょう。 そしてジョニィの爪弾(タスク)がそうであるように、ジャイロの『眼球』も発射するたびに次から次へと再生して補充されるのでしょう。『鉄球』の時のように球数の心配もなくなります。 ※ 画像と本文の内容とは関係ありません 2005/8/21スティール・ボール・ラン感想(#5 ディエゴ・ブランドーA) Dioが恐竜に変身。とうとう変わり果てた姿になってしまいましたが、身体の模様には一面「Dio」の文字がちりばめられていてやけに自己主張の激しい恐竜となっています。こんな姿になってもつくづくこの人はオレ様男、帝王Dio様です。 もしも彼の前世での息子、ジョルノ・ジョバァーナが恐竜になったとしたら、きっと身体は黄金色、そしてコロネ風にカールされたトサカと小さな天使の羽根をつけた、なんかムカつくデザインの恐竜が誕生するのでしょう。 それにしても1ページ目のジョニィの頭の中に出てきた 先月号からSBRを読み始めた人にディエゴ・ブランドーとはどんなやつだったかと質問すれば、きっとこんな答えが返ってくるでしょう。 「えっと、馬に曲芸乗りしたり、「毒蛇が道をどくー」とか、寒いオヤジギャグを言ったり、牛のマネして石ころを食べたりする変な奴でしょ?」 先月号のDio様なら、奇行の天才ジョッキーとして『変人偏屈列伝』にも登場できたと思います。 恐竜となってジョニィとジャイロに襲いかかるDio。人間の時の記憶や、知能のほどについては今だ不明ですが、ジャイロの鉄球の特性を憶えていたということは人間の時の記憶は多少は残っているのでしょう。ただこれまでの行動パターンを見る限り、知能は恐竜並みのようです。 ここで気になるのが、 @この恐竜化の能力はDioによるものなのか ADioはテロリスト一味(大統領の一派)なのか です。 ジョニィは@についてもAについてもYESと考えていますが、どちらも怪しいです。 @については、Dio本人だけでなく熊の死体までもが恐竜化されたところを見ると、陰で仕組んでいる人物がいる可能性もあります。自分以外の生き物も恐竜化できるのならわざわざ最初に自分を恐竜化する必要もありません。恐竜化した自分自身をコントロールできていないように見えますし。たまたまトップランカー入りしてジャイロの近くにいたDioがいいカモにされた可能性があります。 影の黒幕が『SWORD BREAKER』のグリード様のごとく屋根の上あたりでこの状況を見守っていて、「恐竜Dioか……ざこにしては上出来か…」とほくそ笑んでいるかもしれません。 恐竜Dioもジャイロたちに反撃されてピンチになると途端に人間の理性を取り戻し、「オレにはもう人間を傷つける牙はない…!もし見逃してくれたら、人里を離れ人間のいない山奥にこもり、獣や木の実を喰って一生を終える」と命乞いに走るのでしょう。 そしてAについてですが、これはNOと断定していいでしょう。大統領とテロリストとはどこまでつながっているのかはまだ不明ですが、Dioについては1st Stageでジャイロとは初対面であることがはっきりしているので、今さら実はジャイロを狙うテロリスト一派でしたなんてことはないと思います。 また、自分のスタンド能力でもってジャイロたちを攻撃してきたようにも見えません。Dioも偶然「悪魔の手の平」を通過してスタンド能力を身につけていたとしても、これまでの描写から当人はそのことに気づいていないと思われます。逆に@で言ったように、Dioがスタンド能力の犠牲になっている可能性もあります。 今回は新たなジャイロの鉄球の秘技が登場しました。鉄球の回転で身体をぺらぺらの平面にする。もうスタンド能力以上になんでもありの無茶な能力になりつつありますが、これってやられて痛くないんでしょうかね。 同じく鉄球の回転で排水溝に押し込まれているジョニィですが、絵的に拷問されているようにしか見えません。ジョニィ、恐怖と痛みで引きつったような顔してますよ。これ、新手のイジメですか? ジャイロはジョニィに2nd Stageのゴールで裏切られた恨みがあるので、この時とばかりにお返しをしている可能性もあります。 元人間と元熊の恐竜に追われる二人ですが、この混乱の最中、次の目的地を見つけ出します。北斗七星が地上に沈む位置。最初にジャイロが北斗七星を見ていたときに何を見ていたのだろうと思っていましたが、そこが遺体の場所だったわけですね。うっかり北斗七星の横に死兆星でも見つけてしまったのかと思いました。 胸に七つの傷を持つ大統領を倒すまでは死んじゃダメだジャイロ。 |