くず鉄作りの海 - スティール・ボール・ラン感想ログ(2006/01〜04)

2006/4/27


スティール・ボール・ラン感想(#13 緑色の小さな墓標)

ウルジャン表紙と本編表紙の絵が同じで使い回し?と思わせておいてよく見ると、ジョニィとジャイロの位置が入れ替わっている、ルーシーの露出度が下がっている、など、さりげない間違い探しのような構成となっています。
あと左にいるジョニィ(雑誌表紙)とジャイロ(本編表紙)が異常になまめかしい視線でこちらを見ているのはなんなんでしょうか。かなり乙女チックな顔つきをして身体をくねらせています。いったいこれは誰をターゲットにした絵なのか少々理解に苦しむところです。
そしてルーシー・スティールもこのエロチックな男二人に負けじとブラチラ、フトモモ披露とがんばっています。そろそろ荒木先生がルーシーが14歳だということを忘れていないか心配になります。

先月は窮地に追い込まれたルーシーの引きで終わり、そして今月のサブタイトルは「緑色の小さな墓標」と不吉なタイトル。思わずルーシーの死と結びつけたタイトルなのではと不安になりました。
実際はこのフレーズは次の遺体の在処を示したもので、ルーシーも無事だったのですが、しかし、不吉な予感は斜め上をいくかたちで的中することとなってしまいました…


3択−ひとつだけ選びなさい
答え@プリティーのルーシーは突如脱出のアイデアがひらめく
答えA仲間がきて助けてくれる
答えB逃げられない。現実は非常である。

とうとう追いつめられてしまったルーシー、しかし運命はまだ彼女を見捨ててはいませんでした。
アメリカンコミック・ヒーローのようにジャジャーンと登場して「まってました!」と間一髪助けてくれたのはあの男、イケメン、マウンテン・ティムでした。思えばオエコモバ戦以降、ジャイロとジョニィに置き去りにされて以来、ずっと消息不明で読者を心配させ続けていた彼ですが、なんとか元気な姿を見せてくれました。
でもレースはリタイアですか……まあ今はレース優勝よりも別の目的を見つけたようですが。いつルーシーに電場番号を教えたかは知りませんが、この時代、携帯電話なんてないにもかかわらずティムがすぐに助けに来られたということは、スティール夫妻が滞在するホテル付近のホテルに泊まり、ルーシーに自分の部屋の電話番号を教え、じっと彼女からのアプローチが来る時を待っていたのでしょう。なんてマメな男なんだ。

「初めて出会ったときからずっと思っていました」と一目惚れであることを告白するティム。初めてルーシーと対面したときは女性には誰にでも優しいタイプの男かと思いましたが、けっこう本気でルーシーに熱を上げていたようですね。
しかし精神的にはかなり大人びた女性ではありますが、彼女はまだ14歳………現代日本では中学生の年代です………
中学生に求愛する男、マウンテン・ティム…
……マウンテン・ティムよ、それは犯罪だ。
夫のスティールはまあ、昔亡くした恋人に似ていたという言い訳も出来るし、スティールくらいの年齢までいってしまえば逆に老人の気の迷いで片づけられるし。

結局夫以外の男性とはお付き合いできませんと、突っぱねられてしまうティム。しかし、彼女を本気で心配する彼は彼女に希望の道を指し示します。
それは大統領と戦うのなら「敵」を同じくすることになるジャイロとジョニィです。「2人は信用できます」と助言をするティム。あんたいいヤツだ。『見えないところで友人の事をよく言ってる人こそ信頼できる』とは17世紀の神学者の言葉。2nd. Stageで重傷の自分を置き去りにしていった連中のことを「信用できる」なんてなかなか言えたものじゃないですよ。
で、その「信用できる」二人はその頃、他人の牛の肉を食ったり、気を失っている女性の胸をもんだり、その女性の荷物を漁って食料を奪い取ったりしていたわけですが。

雨の中対決する男二人、マウンテン・ティムとブラック・モア。
「オレの傘代わりになってくれるのはありがたいが…『無礼』という行為に相当するんだぜ…人様の頭の上に立つって事はな……」
この台詞、個人的にかなりお気に入りです。こういうかっこいい台詞を吐ける彼がリタイアしてしまったのは残念なことです。
そして彼の最期の台詞……
「ベッドの上で死ぬなんて期待してなかったさ。オレはカウボーイだからな。帰るところが欲しかっただけさ………旅に出たら帰る場所がな……」
ティムーーーーッ!!!
かっこいい!かっこいいけど……死ぬためだけに出て来たみたいで悲しすぎるよ。


遺体の「脊椎」部分を手に入れたルーシー。しかし、ブラック・モアの追跡の手に捕まってしまいます。頼みの綱であるジャイロとジョニィ、そして遺体の奪い合いでなら「敵」を同じくするかもしれないDioさえも6〜7時間はかかるまだまだ離れたところにいます。彼らの助けは期待できないでしょう。今度こそ本当に無力なルーシー一人で強敵ブラック・モアの手から逃れる、または戦うなりの選択をしなければなりません。
現状一番可能性として高いのは、ルーシーが脊椎の所有者となってスタンド能力を身につけることですが、あまりルーシーにはスタンドバトルの領域には入ってきてほしくないと思うところはあります。
ルーシーには、無力ながらも、機転でブラック・モアの手から逃れる展開を期待したいです。


2006/3/26


スティール・ボール・ラン感想(#12 ルーシー・スティール)

なんか表紙のジャイロがエロチックなことになっているんですがなにがあったんでしょうか。衣服のはだけかけたジャイロが「球」を舐めているというディ・モールト際どい絵です。煽りも「味わいな、挑んでるときの”生”の実感を!」です。危うく「生」の字を「せい」ではなく「なま」と読んでしまうところでした。「やらないか」系の漫画と間違われてもおかしくありません。
本編中でもジャイロの服もズボンがずり下がり気味になってきていてヘソ出し、腰出しを意識しているようで、前回の「ようこそ……『男の世界』へ」といい、冗談のはずだった方向性の『男の世界』へとジャイロは一歩を踏み出してしまったのでしょうか。

さて、「クリームスターター」の能力で怪我の治癒を行う二人。本体であるホット・パンツが気絶していても使えるとは便利な能力です。もしかしたら、このままこのスプレー缶をパクって持ち去っても使えたりするんでしょうか。
傷穴は埋めたといえ、頭への着弾という重傷を負ったジョニィです、怪我が治ったといっても後遺症の心配もした方がいいでしょう。ジョニィの容態を確認するジャイロ、お約束の「指何本に見える?」をやろうとしますが、「オリジナルギャグを考えた」と言い出します。
「そこちょっと 失礼(し・トゥ・れい)ィィィィ〜〜〜」

どうしましょう、最近荒木先生のことが本気でわからなくなりそうです。

「毒蛇が道をどくー」のDIOといい、「ああ〜いいッス(ice)かねェ〜」のスティールといい、1870年代のアメリカではオヤジギャグが大流行だったのでしょうか。ジャイロよりは年若であるジョニィはそんなジャイロの渾身のギャグを「明日の朝にはお肉屋さん の店先に並ぶ運命なのね」って感じの養豚場の豚でも見るかのように冷たい目で見ています。この辺は彼らの世代の壁を感じない気がしないでもないです。

さて、現状自分たちより獲得ポイント数の多いホット・パンツを、ガウチョと一緒に地面に埋めて行きこそしませんでしたが、やはり順位のことは気になるジャイロ、気が付く前に出発しようとします。さらに人の荷物を勝手に漁ったあげくに食料を全部奪い去ろうとしています。やってることが完全に追い剥ぎやこそ泥と同じレベルです。いつだったかジョニィに偉そうに「おたくは他人の物を盗み見る教育を受けて育ったのか?」と言っていたのはどこのどいつだったでしょうか。お父様が彼の今のこの姿を見たらきっと泣き出すことでしょう。
一方ジャイロよりは「良識」のあるジョニィ、一応はホット・パンツの心配をします。そしてそこで衝撃の事実が判明。レース上には男っ気しかなかったSBRにようやくヒロイン登場となるのでしょうか。「ホット・パンツが何者だろうと……ぼくらには何の関係もない」と言っていますが、思いきり後々再登場のフラグが立ちましたね。

場所は変わって大統領とその部下たちの密談の場。大統領はすでにスティールを「退場」させることを考えています。「退場」と言っても、スティール・ボール・ラン・レースの裏の秘密に関わっているスティールをただお払い箱にして追い出すだけで済むわけがありません、そこには「始末する」という意味も含まれています。
その彼のピンチに立ち上がったのは、彼の妻、若干14歳のルーシー・スティールでした。リンゴォの送った メッセージを奪い取ったルーシーですが、彼女もすぐに窮地を追い込まれてしまいます。彼女を追うのは大統領配下の警備兵と、そしてスタンド使いブラック・モア。
このブラック・モア、なかなかつかみ所のない男ですね。そして彼のスタンド能力、雨粒を固定し、空中歩行を可能にし、さらに体の一部分を雨と同化させています。それにしても、ブラック・モアが雨の中、傘を差しながら空中を渡り歩くこのシーンにはマジに戦慄しました。DIO対花京院の「世界」発動時のシーン並みに圧倒される光景ではないでしょうか。このシーンが描きたくてこのスタンド能力を考えたんじゃないかと思うほどです。
スタンド能力どころかジャイロの鉄球のような戦う技術すらない無力な14歳の少女、ルーシー、次回は彼女がこの窮地をどう切り抜けるのかが気になるところです。第四部のバイツァ・ダスト対川尻早人のような展開になりそうですね。


2006/2/23


スティール・ボール・ラン感想(#11 大草原の小さな墓標B)

冒頭からリンゴォの生い立ちが語られます。幼い彼を襲った悲劇と、悲劇に打ち勝った事件こそが彼を決闘の世界へと歩ませたきっかけでした。
それにしても「スゲェ美しい!百万倍も美しい!」って、なんともイヤな褒め言葉です、何と比較して百万倍なのか知りたくもないところが特に。カノジョがいる人は、恋人の髪や肌などの容姿を褒めるときに、息を乱しながら「スゲェ美しい!百万倍も美しい!」と言ってみてください。多分ひっぱたかれます。

両親を殺され、人を殺してしまったリンゴォですが、この後子供一人でどうやって生きていったのでしょう。
「リンゴォ・ロードアゲインは 12さいにして殺人を犯し、人の越えてはならない領域に踏み込んだ。
もう後もどりはできない…
このままではこのゴロつきどもの仲間の「報復」と「口封じ」は必ず続く。
誰がこの子供を守ってくれるのだろう?「警察」が保証してくれるのか?
この件を治めてくれるのは『国』を表で支配するといわれる『大統領』だけだ。
こうしてリンゴォ・ロードアゲインは『大統領への忠誠と奉仕をひきかえに』決闘の日々を保証されたのだ」
というような成り行きがあり、大統領の配下となる入団試験の際にスタンド能力も身につけたのでしょうか。

覚悟を決め、リンゴォの方に歩み寄るジャイロ。しかし、リンゴォはジャイロの攻撃はまったく意に介していない様子。時を何度でも戻せる、ということは、致命傷にさえならなければリンゴォは何度でも復活できるということ、つまり前回リンゴォが言っていた、相手を殺しにかかる「漆黒の意志」がなければ自分には勝てないというのは、メンタル面での優越のことを言っていただけでなく、一撃で仕留めない限り自分を倒すことはできないということでもあるのです。
もう自分にとって価値はないと、ジャイロに「勝手にレースに戻るがいい…」とまで言い放つリンゴォ。しかしこの台詞、ジャイロにしてみたら、何を今さらです。かりにジャイロがジョニィを見捨てるような人間だったとしても、勝手に人を巻き込んだあげくに「勝手に戻るがいい」なんて言われて「納得」できる人間はそうそういないでしょう。誰のせいで二時間以上もタイムロスすることになったんだと文句も言いたいはずです。
相手にその気がないのに強制的に決闘に巻き込んでおいて、「おまえじゃダメ」だの「もう帰れ」だのと、ずいぶんとワガママな男です。全くの無関係だったのに決闘に巻き込まれて殺されてしまったガウチョなんて絶対浮かばれません。

決闘の末、リンゴォのトドメを刺したジャイロ。初めて自分の意志で人を殺します。傭兵間の隠語で言うと、「童貞を捨てた」のです。
しかし、トドメを刺されたリンゴォの顔には一片の悔いも恨みも見られません。自分の人生に満足して逝った、そんな安らかな表情です。さらにリンゴォはジャイロにこう言い残します。
「ようこそ……『男の世界』へ………」
童貞を捨てた(※注・人を殺すことの意)ジャイロ、『男の世界』へウェルカムされてしまいました。
何か余計な連想がされる言い回しになりましたが、とにかく今回の戦いでジャイロは自身の進むべき道を見出すにいたりました。

今回リンゴォがジャイロに示した『社会的な価値観』と『男の価値観』、これはそのまま『ジャイロの父親の価値観』と『「納得」を求めるジャイロの価値観』と対応できるでしょう。
「感傷」を捨てろと言う、ジャイロの父の教え、これは確かに正しいです。死刑執行人という厳粛な任務にある者が、私情で判断を鈍らせたり、死刑執行の際に処刑される罪人への思い入れで動揺を生み出してしまうことは許されません。ジャイロの父にしても、感情のない人間などではないのでしょうが、自分の任務の重要性を理解しているからこそ、努めて自分の中から感傷を捨て去り、死刑の執行に個人の判断を持ち込まないスタンスを取っていたのでしょう。これから処刑する罪人が有罪であろうと無罪であろうと、自身が死刑執行人という立場にある以上、その是非に踏み込むことは許されないのです。
では、なぜジャイロは踏み込んではいけない是非に踏み込んでまでマルコ少年を救おうとするのでしょうか。ひとつにはジャイロがまだ正式に死刑執行人の任務を継いでいないことがあるのでしょう。
かつてジャイロの父は、『男には地図が必要だ。荒野を渡りきる心の中の「地図」がな』という言葉をジャイロに残していました。この地図とは、自身の感傷を徹底して切り捨ててまで死刑執行人の任務を厳格に勤めるための、己の指針でもあったのでしょう。ジャイロの父にしても、彼が死刑執行人の任務を受け継いだばかりの時にはいろんな葛藤にも悩まされたのかもしれません。しかしジャイロの父も自分なりの「地図」を見出して任務を厳格に全うすることを受け入れたのだと思います。
しかし、マルコ少年の処刑を直前にしたジャイロにはまだその「地図」がなかったのです。ジャイロが度々繰り返している「納得」という言葉、それこそがジャイロにとっての「男が荒野を渡りきるために必要な『地図』」なのです。だからジャイロは、一見矛盾しているようにも見えますが、死刑執行人の立場を逸脱してまで少年を救うという行動に出たのです。
ジャイロの父にとっては、『社会的な価値観』と「男が荒野を渡りきるために必要な『地図』」=『男の価値観』は一致していました。しかしジャイロにとってはこの二つが一致しなかったのです。

最後に、ジョニィの生存を確かめて、「脈はまだあるようだな……お互いな…」と言っているジャイロですが、すでにホット・パンツの存在はなきものとしているようですね。イケメンの時の前科のあるジャイロのことです、自分より総合ポイントの高いホット・パンツをそのまま置き去りにする可能性は十分にあります。いや、ガウチョが埋められた隣に穴を掘って埋めていくくらいのことはしてくれるかもしれません。
次回のSBRでは、何事もなかったかのように、初めから誰とも出会ってなんかいなかったかのように、ジャイロとジョニィだけでレースを続行しているかもしれません。


2006/1/22


スティール・ボール・ラン感想(#10 大草原の小さな墓標A)

さて今月のウルジャンですが、表紙はこれ
2005年4月の『SBR』開始からウルジャンを購読するようになって三度目の試練でしょうか。
このように時々、ウルジャンは少年ジャンプしか読んでいなかったが『SBR』のためにウルジャンを買い始めた読者に試練を与えることがあります。
しかしどんな環境にも人はいつかは慣れるもので、以前はタルカスを前にしたポコのように7月号10月号のウルジャンをレジに持っていくことに勇気を振り絞っていた私ですが、今回は手にしたワイングラスの中のワインを一滴もこぼさない冷静さでウルジャンの購入を済ませることができました。「北風がバイキングを作った」のです。
ともあれ、濃いのもあれば萌えもある、内臓が吹き飛ぶ漫画もあればラブコメもあり、こうした毛並みの違いすぎる漫画が並んだガンジス川のような混沌さがウルジャンの特色なのだと思います。

ガウチョの死亡から一時間後、いまだ果樹園から抜けられないジャイロ達。さすがにこの状態が自分たちに何かの力が及んでいるものと考えます。そしてガウチョと同じようにボロ小屋にいた男と戦うことを決めます。
一方ボロ小屋の男こと、リンゴォ・ロードアゲインはというと、ガウチョの死体の後始末をしていました。ジャイロたちが見ているのも気にすることなく堂々と殺人の証拠隠滅をしています。さすが果たし合いの日々を送るだけのことはあります。いろんな意味で度胸がすわっています。決闘による殺人だから罪には問われないと思って気にしていないのか、それとも、どうせ目撃者も一緒に始末する予定だから気にしていないのか。
もしかしたら、この辺りの地面を掘り返したらボコボコと大量の他殺死体が出てくるんじゃないでしょうか。さりげなく2nd. Stage以降消息の知れないイケメンの死体もいっしょに出て来そうで怖いです。

ジャイロでは自分には勝てない、殺すことはできないと、指摘するリンゴォ。まるで『バキ』のドリアンに「君では無理だ。わたしに敗北をプレゼントするなどとてもとても……」と一蹴される加藤のような扱いです。核心をつかれたジャイロ、「そう捨てたものじゃないさ」と言い返すこともできませんでした。
たしかにジャイロは死刑執行人という立場ではあるものの、彼の持つ「鉄球の技術」は敵を倒すためのものではなく、処刑される囚人に苦痛を与えないためのもの、囚人の暴動を止めるためのもの、決して自発的に敵を倒すためのものでもないし、なにかを奪い取るためのものでもありません。そしてなによりも、ジャイロはまだ「人を殺す」という一歩を踏み出したことはありません。マルコの処刑がジャイロの死刑執行人としての初任務だったので、まだジャイロは囚人の死刑執行、人の命を奪うという経験したことはないはずです。
精神力の強さなら、3rd. Stageラスト、Dioとの一騎打ちで自分の体を干からびさせてまで勝とうとするほどの執念を見せたジャイロですので、未熟だとか弱いということは言えないでしょう。しかし自分が死ぬか相手が死ぬかの場で必要となる強さとは違うのです。
そして逆にジョニィになら自分を殺せる可能性があるとリンゴォは言います。ジョニィにはいざというときにはリンゴォを殺しにかかる「漆黒の意志」があると。
ジョニィにそれだけの強靱な意志があるかと言われるとちょっと疑問符がつきますが、ハングリーさでならジャイロを上回っていることは確かです。かつてはトップジョッキーとして名声を馳せた頂点から一転、どん底まで堕ちた男です。これ以上失うものもなかった男です。
ジョニィが「この『物語』は、ぼくが立ち上がる物語だ」と言っていた『スティール・ボール・ラン』。いつの間にかクララもびっくりの立ち上がりぶりで精神の成長を果たしたジョニィ、すでにジャイロの一歩、二歩先を歩んでいるように見えます。

リンゴォの前に敗れてしまった三人。しかしジョニィはまだ生きていると確信するジャイロ。でも弾丸は頭蓋骨で止まっていると言っても、これだけでも馬に乗ってレースどころではない重傷だと思うのですが……これもゾンビ馬の糸の力で強引に治すのでしょうか。
または、ホット・パンツがまだ生きていれば、肉スプレーで傷口を埋めて接着するという治療法もあるかもしれません。今後ホット・パンツがジャイロたちの仲間入りをしてレギュラー化すれば、回復役として彼が活躍する可能性もあります。
しかし、重傷を負いながらも敵スタンド使いの情報を教えてくれたイケメンを当然のように置き去りにしたジャイロとジョニィのことです。弾丸に撃たれたホット・パンツを見ても「仲間がやられた」ではなく、「ラッキー、ライバルが減ったぜ〜」と考えて、また置き去りにしていく可能性の方が高そうです。

そして今回のラスト、ついにジャイロの目にも漆黒の殺意の光が宿りました。次回、「フゥー……初めて…………人やっちまったァ〜〜〜〜〜♪でも想像してたよりなんて事はないな。そしてオレに向かって「対応者」だなんて言えるヤツは、もうこれで誰一人いねーからな…」とイヤな成長の仕方をするジャイロが見られるかもしれません。