2006/12/25スティール・ボール・ラン感想(#21 湖畔のルール) というわけで、今回の『SBR』は「泉の女神」のお話。 しかし、どんな童話だろうと荒木先生の手にかかってしまえばファンタジーやメルヘンではすまされません。正直者は得はしたけどさらに怖ろしい裏がありました。 落とした鉄球の代わりに差し出されたのが金塊と宝石。鉄の斧の変わりに金の斧と銀の斧を出した「泉の女神」の話に沿えば、ここは鉄の玉の代わりに金の玉と銀の玉が出て来たところでしょうが、金塊にしたのはそこはせめてもの良心だったのでしょうか。 さて、ジャイロの過去の回想から入った今回の『SBR』ですが、患者の女性と少年ジャンプではふわふわした描写で表現されることをやっていたジャイロ。これまでの回想シーンに登場したジャイロは生真面目な人間という印象が強く、今の文字入り金歯を付けたり「ニョホホ」と笑うようなジャイロのイメージからはかなりかけ離れています。国を出てからレースに出場するまでの間に彼に何があったのかといぶかしんでいましたが、なんてことはない、こいつ猫かぶってやがったんですね。 いつの間にか終わっていた5th. STAGE。このSTAGEのトップにはこのごろめっきり出番のないポコロコが。そして2位には、途中、ミシシッピー川ならぬ三途の川を渡りかけたくせにちゃっかりとノリスケが入賞しています。今回はゴール前の争いもなくあっさりと終わっちゃってますね。総合ポイントでは上位陣に食い込んでいるジャイロとジョニィですが、いまだチェックポイント1位のタイムボーナスを獲得できていないのは痛いです。そして、リタイア者の中に含まれているサンドマン…… ノリスケが生きていたんだから、サンドマンもホット・パンツの治療を受けて生きていて、再びレースで争うという展開をちょっとだけ期待していたんですが、これで完全にサンドマン復活の可能性がなくなってしまいました。 落とした物は正直に答えないといけない「泉のルール」。いくらジャイロが道端で見つけた他人の牛の肉をつまみ食いするような卑しい男でも、このルールには落とし穴にはまる前にすぐにピンと来たようです。さらにはこの状況に戸惑っているだけのジョニィとは違って、有効活用の方法を思いつくところはなかなかしたたかな男です。今のジャイロを見て「飢えが足りない」などとは誰も言わないでしょう。 最後にジャイロが泉に落としたのはウサギの耳。それに対してシュガー嬢が取り出したのは、ウサギの耳と……遺体の耳でした。そうです、この普通じゃない状況に「遺体」の力が絡んでいることに気付いたのです。さすが、気絶している人間の荷物をあさってサンドイッチの肉だけを食っていくようなセコい男ですが、こういう時には冴えたところを見せてくれます。 しかし、結局欲張り者はとんでもない目に遭うことになってしまったジャイロとジョニィ。ジョニィ的には「そういうことは先に言えよな」と言いたいところでしょうが、シュガー嬢の方では腹の中で「引っかかりやがったぜ、この強突張りどもが」と思っていたことでしょう。黒いですね。 次回はこの金塊、宝石、料理のフルコース、札束、ブレゲの時計、そして遺体の耳をどう使い切るのかがポイントになってくるのでしょうか。そもそも「使い切る」の定義がどこまでを意味しているんでしょうね。人に譲渡するとか、飛び道具の代わりに投げつけるとか、そういう使い方も「使い切った」内に入るんでしょうかね。より厳密にその物体を、料理なら食べ尽くす、札束なら買い物をして使い切るといったように、本来の用途で使用して消費、消耗しきるまでやって「使い切った」ことになるんでしょうか。後者だとかなり「使い切る」のは難しいですね。 前者なら札束の使い道に困ったジャイロには、これ↓をやってほしいところです。 世紀末に発生したモヒカン種族は札束のことを、「今じゃケツをふく紙にもなりゃしねってのによぉ!」と言っていましたが、まだ松明代わりに使われた方がもったいない感が薄いし、エレガントな使い方だと思います。 ところで、ここで脇道にそれて細かい突っ込みに入ります。『SBR』の世界では1890年代に一般的に腕時計が使用されていますが、確かに1890年代にはぎりぎり腕時計自体は作られてはいたようですが、20世紀初頭までは懐中時計が主流で、腕時計は一般には広まってはいませんでした。あったとしても懐中時計をそのまま腕に装着させたような無骨な物しかなかったようです。さらにはブランド物の腕時計なんてものになるとかなり存在が怪しくなってきます。 さて、誰かの欲張りのために樹木の養分となりかけるジョニィ。そんなただでさえピンチの状況下でジャイロとジョニィに迫る11人の敵。そろえているのは足並みだけではなく衣装、髪型までみんなおそろいです。ていうか後頭部怖いよ。なんだろう、元ネタがあるのかな、これ。こんな人たちがレストランや銭湯に来ようものなら即座に入店拒否されます。子供が見たら泣きます。 拳銃に弾丸をこめていますが、今さら鉄球の技術と進化したスタンド能力を身につけたジャイロとジョニィにただの弾丸では相手にはならないでしょう。当然大統領の刺客(と思われる)の彼らも何か特殊な能力を持っていることでしょう。しかし彼ら全員スタンド使いというのもちょっと大盤振る舞い過ぎる気がします。スタンド能力を持っているにせよ、11人そろって初めて真価が発揮されるようなものだとか、スタンド能力者ではないが11人でのパーフェクトな連係プレーを得意とするとか、そんなところでしょうか。『バキ』のマウスのように、一人一人個々の能力は大したことはないが、一卵性の11人子ならではのコンビネーションで強者を葬ってきたのかもしれません。 大統領「マウスを呼べ」 部下「気は確かですか大統領………だって彼等は………」 大統領「 一人みんなからハブられてそうなのがいるけど。 ▲
2006/11/26スティール・ボール・ラン感想(#20 黄金の回転へ!) ジョニィ「これはッ!この回転は………!!ゆ…指を軸に……ドリルみたいに回っている………」 サンドマン「堪忍してぇな。ジャイロ回転しとるやんか。この爪弾はバックスピン上向きのマグナス力と進行方向に対して45度の入射角での回転軸を持つ力との融合と言えるやろ……回転することによりこの爪弾は空気抵抗をほとんど(略)…これが爪弾の正体やでぇ」 と、サンドマンに『テニプリ』の奈良並みのIQがあればこんな風にジョニィの攻撃を解析したかもしれませんが、これまで指の上で横に回転するだけだったジョニィの爪が、指を軸として立体的な回転をするようになっています。ブーメランスネイクがトルネードスネイクへと進化しました。 ジョニィの爪弾の変化点をまとめると、以下のようになります。
弾数制限がついたことも大きな変化ですが、今回の「黄金の回転」で最も大きく変わったのは爪弾の攻撃が拳銃のような「回転による物体(爪)の射出力」による威力だけに頼らず、「射出された物体(爪)による回転」で攻撃できるようになったことです。簡単に言うと「爪」を発射するのではなく「回転の力」を発射できるようになったのです。 パワーが上がればその代償として射程距離や持続力が失われるスタンド能力の常として、ジョニィの爪弾も弾数制限がついたわけですが、一度両手の爪弾を使い切ったら次はいつ撃てるようになるんでしょうかね。スタープラチナの「時間停止」のように一呼吸、二呼吸置いた程度では回復しなさそうです。両手の爪がなければ両足の爪を使えばいいじゃないと、もうあと十発くらいは撃てそうな気もしますが。ポーク・パイ・ハット戦で両足からも爪弾を発射できていたので、無理ではないと思います。 あと、爪弾発射後のジョニィの指は爪がはぎとられた状態になっているわけですが、痛くないんでしょうかね。爪の下の部分は神経が集中しているので刺激に非常に敏感です。拷問の手段で指の爪をはぐなんて行為もあるように、爪が剥ぎ取られた状態というのは冗談じゃなく痛いはずです。腕や足に穴が空いたり吹き飛んだりするのが日常茶飯事なジョジョ(SBR)の世界ですからジョニィも痛みに対してはそれなりに耐性はありそうですが、この戦いの後のジョニィの容態が少し心配です。 Dioから借りた恐竜の攻撃が通用しないとわかると、本体自ら出向いてジョニィに攻撃をしかけることにしたサンドマン。彼の運動神経については今さら説明の必要もないほどなので、「イン・ア・サイレントウェイ」のスタンド能力+サンドマン自身の戦闘能力が彼の武器になります。 サンドマン「『サンドマン』………?それは白人が勝手に聞き間違えて読んだ名前。直訳は「サウンドマン」。我が部族の言葉で「音」をかなでる者と呼ばれている」 「砂男」ではなく「音男」が彼の本当の名前でした。しかし、「サンドマン」は白人が聞き間違えた名前と言ってますが、『SBR』第一話で部族の人間が彼のことを「嫌われ者の そして戦いはジョニィの勝利で終わりました。サンドマンのダメージはおそらく致命傷、最後に姉の回想までしてしまったので、どうもサンドマンは本当にここで終わりのようです。 『SBR』第一話から登場し、荒木先生自身も雑誌のインタビューの中で「サンドマンはジャイロたちのライバルとなるキャラクターなので初めに出した」といったことを言っていたサンドマン。その彼がレース中盤のここで使い捨てられることになってしまったのはちょっと納得いきません。 「遺体」の争奪戦自体、もともとの『SBR』の構想にはなかった展開だと思うので、いろいろと予定が変わった結果サンドマンが押し出されることになってしまったのでしょうが、サンドマンにはラストステージまでジャイロたちのライバルとして「レース」での勝負を続けてほしかったのでかなり残念です。 戦いを終えたジョニィたちの前に現れたホット・パンツ。治療のできる彼女が都合良く現れてくれたことはジョニィにとってもラッキー……というわけでもなかったようです。彼女が携帯していた袋に刺繍されていたヴァチカンの紋章、そしてジョニィから遺体を抜き取っていったホット・パンツ。どうやら都合良くではなく初めからホット・パンツはジョニィたちの動向を追っていたようです。 「遺体」は奪っていきましたが、ジャイロたちの傷は治療し、「能力」にも手をつけなかったホット・パンツ。ジャイロはホット・パンツがヴァチカンの手の者であること、そしてヴァチカンがすでに「遺体」のことを知っていてこのレースに関与しているらしいことは知りませんでした。レースの裏で暗躍しているのはアメリカ合衆国だけでなくヴァチカン側も同じのようです。 アメリカ大統領が「遺体」を手に入れるためにスティーブン・スティールを、スティール・ボール・ラン・レースを利用したように、ヴァチカンもジャイロを利用している可能性がありそうです。 ところで「遺体」を入れた袋に涙を流しながら頬ずりするホット・パンツの姿にどうもどこかの手フェチ殺人鬼の姿がダブってしまいます。ローストビーフサンドイッチの袋からミイラ化した腕と脊髄が出て来たら重ちーでなくてもびっくりすると思います。 ▲
2006/10/28スティール・ボール・ラン感想(#19 黄金長方形) 「『黄金長方形の軌跡』で回転せよ!」 「できるわけがないッ!」 今回のキーワードをあげるならこの二つじゃないでしょうか。 なんか台詞だけを抜き出したらジョニィがツッコミ入れているように見えてしまいますが。 ついにジョニィに鉄球の「回転」の秘密を教えるジャイロ。もちろん聞くと実際にやるのとじゃ全然話は違いますが、ジャイロがこの「回転」と「黄金長方形」の関係の秘密を教えたことは、例えるなら一流ラーメン屋のオヤジがスープの作り方のレシピを教えるに等しいことじゃないでしょうか。 これまでジャイロは「回転」の応用法はいくつか見せてきましたが、その「回転」そのものの秘密については明かしていませんでした。「回転」の力で筋肉を操作したり、マントで帆を作ったりなんてのは「回転の技術」を応用した結果であって、「回転の技術」において最も重要なのはその「回転のさせ方」であったわけです。 今はまったく目的が変わってしまっていますが、もともとジョニィはジャイロの「回転」の力に魅せられて、その秘密を知りたいと思ってジャイロについてきていたわけでした。そしてジャイロもジョニィに次第に気を許すようになり、「回転」の技術の様々な応用法や自分の素性などについてもジョニィ明かすようになります。しかし、それでもジャイロは最も重要な「回転」の秘訣だけは黙っていたわけです。なにもこれはジャイロの意地が悪いとか秘密主義というわけではありません。「回転の技術」が一般に、どころか国の処刑人たちの間にさえ普及することなくツェペリ一族にのみ伝えられてきたということは、この「回転」の秘密はいわばツェペリ一族のトップシークレット、外部の人間には決して漏らしてはいけないような大事な秘密であったはずです。それをついにジャイロはジョニィに教えることにしたのです。言ってみればこれはコカ・コーラ原液の成分やケンタッキー・フライドチキンのスパイスの成分に匹敵するほどの企業秘密だったはずです。 これは強敵を前にジャイロが鉄球を無くした緊急事態だということもありますが、ジャイロとしてもこの「回転の秘密」をジョニィに教えたことはかなりの覚悟をもってのことだと思われます。もしかしたらこのレースが終わった後、もうジョニィも外部の人間というわけにはいかないということで強制的にバチカンに連行されてツェペリ一族の養子として迎え入れられてしまうかもしれません。もちろんそんなことは知らずに「回転の秘密」を伝授されたジョニィに拒否権などあるはずもなく。 ジャイロ「お前は既に身も心も我らが同胞。回転の秘密を知ったということは、そういう事だジョニィ・ジョースター」 それにしても、パラレルワールドにおいても、ツェペリ家とジョースター家の師弟関係が再現されたことにはグッと来ましたね。 そして今回のもう一つのインパクトはやはり敵スタンド使いの正体。 はっきり言ってこれだけは予想できませんでした。というよりは、既知のキャラ、Dioも知っている人物、という条件を満たしていながらもありえないと思っていた人物が敵に回ったわけですから。 サンドマンと大統領が最初から手を組んでいたというのは考えられないので、おそらくはブラック・モアが倒されたあたりで自分の手駒(スタンド能力者の配下)が少なくなってきたことと、内部の人間に自分に敵対する人物が潜んでいることに焦った大統領がスカウトするに至ったのでしょう。 意外性でいえばこれ以上にないというほどに十分だったわけですが、しかし、個人的には正直これはやってほしくなかったというところもあります。たしかにサンドマンはインディアンの中でも珍しい、かなり合理的にモノを考える人間ではありましたが、ここまで手段を選ばないような人間ではなかったと思っていたんですよね。1st. Stageの時と今のサンドマンを比べたら、「別人じゃないかまるでッッ」と言いたくなるほどの変貌ぶり。ブチャラティが見たら「おまえの目の中に、 ダイヤモンドのように固い決意をもつ「気高さ」を見た…だが…堕ちたな……ただのゲス野郎の心に…………!!」と言われかねません。 サンドマンとは、大統領の刺客の攻撃に巻き込まれて、一時的にジャイロたちと共闘、でもレースに戻れば優勝を狙う敵同士としてレースで争いを繰り広げるという展開を期待していたんですけどね… サンドマンについては、Dioと同じように今後のレースでも戦い続けることになりそうですし、後々フォローもほしいところです。 「黄金長方形」の秘密に気付いたジョニィ、ついに黄金の回転に成功します。そしてジョニィの「回転」の成長と、「精神」の成長の結果か、あのモヴェ公のスタンドビジョンもパワーアップします。でも目は相変わらずつぶらな瞳のままなのね。 二つ目の遺体がジョニィのものになったことで、多くの読者がこの窮地を覆す手段に二つ目の遺体によるパワーアップを予想したと思われますが、運良く二つ目の遺体の新しい力が発動してなんとかなっちゃいましたという展開にならなかったのは良い意味で予想を裏切られました。 ▲
2006/9/27スティール・ボール・ラン感想(#18 さらなる段階) 「少し、ぼくの話をしよう」 「ぼく……ジョニィこと…」 「………本名ジョナサン・ジョースターは」 ジョナサン!? 1st. STAGE第二話で「ぼくの名前は『ジョニィ(ジョーキッド)・ジョースター』」と言っておいてずっとその名で馴染ませておきながら、今になって本名を明かされてももう誰も「ジョナサン」なんて名前で呼ぶことはなく、「大阪」と呼ばれ続ける『あずまんが』の天然ボケの子や「キョン」と呼ばれ続ける『ハルヒ』の主人公のように本名の方が忘却されてしまい、今からジョニィのことをジョナサンと呼ぶには少々手遅れの感もあります。というか「ジョーキッド」の名はゴールドエクスペリエンスの初期能力のように、玉美と間田の身長のように、フーゴのように、なかったことにするつもりなのでしょうか。 ジョナサン・ジョースターと言えば、言うまでもなくジョジョ一部の主人公であり、このジョジョのパラレルワールドの前世でのジョニィの名前でもあります。これまで『SBR』では、ディエゴ・ブランドーを始め、F・V・シュトロハイムやウルムド・アヴドゥルのように、1〜6部のジョジョキャラ・リメイクを登場させながらも、そのままの名前ではキャラクターを登場させることはありませんでした。それが今ここにいたって、わざわざ「ジョニィ・ジョースター」と別名を与えていたジョニィに「ジョナサン・ジョースター」という本当の名前を与えたこと、これは単なる作者の気まぐれとも思えません。 この世界でのジョナサン(ジョニィ)は、第一部のジョナサンとは違い、父親に愛情は与えられず、成長して一流ジョッキーとして成功しながらも自分の傲慢が原因でどん底にまで落ちぶれてしまうという有様です。『SBR』にジョニィ・ジョースターが登場した時に、誰もがあのジョナサン・ジョースターのことを思い浮かべながらも、性格も生き方もまるきり違うこの二人を同一視はできなかったはずです。 しかしジャイロ・ツェペリとの出会い、スティール・ボール・ラン・レースへの参加、そして聖人の遺体をめぐる戦いがジョニィの精神を大きく成長させています。ジョニィをそうして成長させることで、誇り高き血統であるジョナサン・ジョースターの名を名乗るにふさわしい人物へと近づけようとしているのかもしれません。 彼が本当の名前であるジョナサン・ジョースターを名乗る時、それは自らの傲慢が原因で人生のどん底にまで落ち込んだ彼が、かつてスピードワゴンがジョナサンに向けて言った「精神的にも貴族」である人間に成長した時になるのでしょう。『SBR』でのジョースター家が没落した貴族の末裔であるということも一つの象徴なのかもしれません。 ところでこのジョニィの父親ですが、ジョニィが馬に乗る姿を見て「我が息子は乗馬の天才だ」とか言ってませんでしたっけ?それともあの台詞はジョニィにではなくニコラスに向けて言っていたとでもいうのでしょうか。もしこの父親にそんな突っ込みをしたら、「話をすり替えるな!正しく天才ジョッキーになるという約束を一方的に破ったのはおまえ自身なのに、わたしをウソつき呼ばわりするのか!?」と逆ギレされそうですが。 それよりも荒木先生の元へ「大人はウソつきだ!」という少年少女の絶望と怒りと悲しみの声が来てしまわないか心配になります。「大人はウソつきだ」と思った少年少女のみなさん、大人はウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです。それから荒木先生は忘れっぽいだけなのです。 実は初対面ではなかったジョニィとDio。親の敵でも見るかのようにDioを毛嫌いしていたジョニィでしたが、Dioに対して(ジョニィの方から一方的に)浅からぬ因縁があったわけですね。 物を切り裂くだけでなく、燃える衝撃までも発生させることのできる敵スタンド使いの能力。これはもう完全に「エコーズ Act 2」ですね。これまで『SBR』ではオエコモバの爆弾や、リンゴォの「マンダム」のように、系統的には既存のスタンド能力に似たスタンドは登場しながらも完全に同一性能のスタンドは登場させていませんでしたが、今回の能力の使い方を見ると「エコーズ Act 2」にしか見えないですね。いくら荒木先生が忘れっぽくても「エコーズ Act 2」というスタンドがいたことを忘れてしまったということはないと思いますが… 一つだけ違う点をあげれば、「エコーズ Act 2」は対象一体にしか「音」を貼り付けることができませんでしたが、こちらは貼り付けられる対象の数は無制限のようですね。強化型「エコーズ Act 2」、または「エコーズ Act 2」×「ぜんたいか」マテリアといったところでしょうか。 ジャイロが鉄球をなくし、馬も捨て、恐竜たちに取り囲まれ、どんどん追いつめられた状況に陥る二人。ジョニィはすでに反撃する意志すらなくしつつありますが、ジャイロはその反対でした。今のジャイロは遺体の眼球を手放してスタンド能力はなくなっているし、武器である鉄球さえもない状態です。しかし「回転」の力にはまだ先があると言います。この状況からするに、ジャイロが「回転」の次の段階を教えることで、ジョニィの「爪弾」の回転を進化させるということでしょうか。 気になるのはその進化に二つ目の遺体の力も作用することになるのか、それとも技術的な進化だけでこの窮地を乗り越えるのかというところです。 ▲ |